Love of space 1
最終章
卒業式
「今日でやっと卒業ですね。」
いつもラフな格好をしている水谷先生が今日は黒いスーツを着ている。
こう見るとまだ水谷先生は大学生でも通用しそうだ。
『そうですねー』
俺もいつも少し緩めているネクタイをぎゅっと締める。
「もう、何も気にしなくていいんですよ。」
はい、と答える代わりに俺は頷いた。
卒業式が終わったら俺は何に縛れられることもなく、
零に想いを伝えられる。
『さ、みなさん行きますよ。』
伊藤先生がそう言って立ち上がった。
他の3年生の担任の先生も立ち上がる。
そして職員室を出て行く列の最後に俺と水谷先生が並んだ。
今日で、ホントに最後。
この学校の制服を着る零を見るのも、
この学校で授業を受けている零を見るのも、
最後なんだ。