Love of space 1
『卒業証書授与。』
いつもとは違う空気が流れる体育館。
卒業証書をもらったら、零はこの学校の生徒じゃなくなる。
俺と零は教師と生徒、と言う関係ではなくなるんだよな?
もう、教師だから。
なんて気になくてよくなるんだよな??
もう我慢なんてしなくていいんだよな??
『西城零』
伊藤先生が低く名前を呼んだ。
「はい。」
零は普段あまり大きい声を出さないが、今日の返事は大きかった。
立ち上がった零。
目に涙が溜まっているように見えるのは、気のせいか??
零は上を向いて必死に涙を零さないようにしていた。
別に我慢しなくてもいいのに。
泣いてもいいのに。
『以上、36名。』
伊藤先生が頭を下げた。
そうすると俺のクラスのみんなは座る。
俺は一度零から視線を逸らした。
そして父兄席に目を向けた。
あ。
浩介じゃないか。
父兄席には浩介の姿。
浩介は温かい目で零を見つめていた。
なんか本当の親父みたいだよな。