空から君へ

「絢に、俺を選んで正解だったって思わせる」



「…がんばれよ」





優の話す言葉は右から左へ流れていく。
聞きたくない。

女からくるメールに返信をしながら
優の話を聞いていた。


あまりにいい加減な俺の態度に、優はイライラしてきたのか…
俺の携帯を取りあげる。






「なに?」



「親友が来てるのになんだよ」



「ノロケたいだけだろ」





携帯をとり返してメールをやめた。
そして、一点を見つめる…。

俺の視線の先にあるもの。
それは、5人で撮った文化祭の写真。


俺、優、絢、由美、奈菜

この頃に戻りたい。







「つーか陽、お前って惨めだな」



「…は?」



「本当に。絢を泣かせないために別れる?お前が恐いだけじゃなかったのか?」



「なにが?怖いものなんてないけど?」





ソファーに座っている優は、ベッドに座っている俺を見る。

惨め?
怖い?

なにが言いたいのかわからなかった。
優と初めて真剣な口論になる。






「死?俺はそんなもんとっくに受け入れてる」



「ちげぇよ。絢のことだよ。」



「ますます理解不能なんですけど」



「お前は一体どのくらい絢が好きだったわけ?絢を信じてないんだろ?」






そこまで言った優の胸ぐらを掴んでいた。

どのくらい好き?
信じてない?


俺の気持ち…わかったんじゃなかったのか?





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