空から君へ
「できの悪い俺が姉貴たちにできること」
姉貴らが汚いと、蔑んだ目を向けていた俺。
中学時代
大キライで何度も迷惑をかけた。
何のためにそんなことをしていたのか。
誰のためにしていたのか。
そんなことも考えず。
大切な何かから目を逸らして
俺はいつも逃げていた。
自分の信じていたものが壊れて崩されるのが嫌で。
「泣くなよな…。」
「陽はずっといい弟だった…」
紗雪はこらえて話してくれる。
強い紗雪
優しい千紗
最高の姉貴たち。
「私はね、陽が我慢しているところを見るのがつらかった」
「え…?」
「小学校の頃の学校行事で周りの子を羨ましそうに…」
「…っ」
「そんな気持ちも隠して笑ってくれていた。」
俺の手を優しく包み込んでくれた。
温かい…。
紗雪と千紗の手。
「陽が幸せでいること」
「笑っていること」
俺が…?
「恵まれない家庭で育った分、人一倍人を大切にで来ることを知ってる」
「笑顔でいること、愛されることの嬉しさや幸せさをしってる」
俺は、姉貴たちから目を逸らしていたのに、
姉貴たちはちゃんと
俺を見てくれていた。
「陽が自分らしく生きること。」
「陽がしたいことをする」
涙が勝手に頬を伝った。
姉貴と向き合えばよかった。
きちんと向き合えば…。
「精一杯生きる…それが私たちの願いよ」