空から君へ

未来予想図


季節は当たり前のように移り変わっていく。
俺は、治療を受けなくても

一年…だいたい予想していた自分の
命の長さ。


でも、俺は元気だった。
…元気といっていなきゃいけなかった。


数か所に転移が見つかったとき、
正直もうだめなのか?

そう、思った。


いやでも主治医には、余命を聞かされた。



俺は今、立ち向かっているのかもしれない。
自分の運命に






「今日ね学校で優がまた女の子に告白されてたんだよ」



「優が?」



「うん。優って意外とモテるんだよね」






絢が嬉しそうに優の話をする。
友達だし、親友だし、
話すのはわかるけど…

そんなに嬉しそうに言うなよ。


嫉妬深い自分。






「絢、優の話すんなよ」



「え?なんで?」



「バカかお前…。彼氏の前でなに赤くなってんだよ」



「ごめん…」







申し訳なさそうに謝った絢。
って、俺は何してんだ。

絢を抱きしめて、囁いた。







「ごめん」



「なんで陽が謝るの?」



「…嫉妬した」






恥ずかしすぎるし、みっともない。

絢を放して顔を隠した。
真っ赤なんだろうな・・・俺。






「陽…///」



「あんまりみんなよ…///」





じっと見つめられて余計に恥ずかしい。

顔を埋めて隠している俺を包み込んだ。
この時

気づいてしまった。



絢の不安、俺の温もりを確かめてる。
いつもきっと
俺が死ぬんじゃないかって不安なんだろう。


鼓動の速さ、緊張して冷たくなっている手、
震える身体から





伝わってきた。








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