空から君へ
2、3日していつもの病室に戻った。
俺はもう少しで
旅立つのかな?
なんて、考えていた。
絢の最後に記憶に残りたい。
俺を愛してよかった・・・。
一ノ瀬 陽に出会えてよかった…。
そう心から思ってもらいたい。
「あの、先生…外出したいんです」
外出許可をもらった。
絢とできないだろう、新婚生活。
さすがに、セックスは無理だけど・・・。
萎えるよな。
やれないとか・・・。男の恥?
「あんまり…無理すんなよ…」
いつも、寝ている絢の髪を撫でて
囁く。
本当に、やつれたんじゃないか?
「って…ムリさせてんのは俺か…」
無邪気な寝顔を、
ずっと見ていたい。
優しい笑顔を、
ずっと見ていたい。
小さな体を、
ずっと抱きしめてやりたい。
綺麗な涙を、
泣くときは必ず拭ってやりたい。
強がりな絢を、
守りたい。
そう、心の中で何度思ったことか。
君の寝顔を見て
いつも、そう思ってた。
「絢、俺がいなくても幸せを作れ」
想いってのは、3年もすれば人間の遺伝子的に、
冷めるようにできてる。
つらくても、
乗り越えろ。
心の中の俺は、
タイムリミットの近さに気づいていた。