空から君へ



その言葉が俺の頭の中を駆け巡る。
ショックつーか……なんつーか…





「そっか」



「余命は……」



「言わなくていい。俺自身のことは俺がいちばんわかる」





なんだ。
3年に上がれねぇんだ。

人間って不思議なものだ
本当につらく、悲しい時は涙も出ない。

冷静になって、笑ってしまう。






「は…っ…ハハッ…」



「陽?」



「涙すら出ないな。」





俺の腕の中で千紗が泣き続ける。


…俺は生き方を知ってる。





「抗癌剤治療を…っ」



「出来損ないの弟で悪かった」





これが俺の答え。
姉貴たちは顔を歪めた。





「抗癌剤治療は受けない」





驚いている。
もう……誰かに迷惑をかけたくない。

それに……。





「どうして!?今受ければ助かるのよ!?」



「誰かを悲しませたり、迷惑なんてかけたくない。絢が泣くだろ」





俺はこの選択をしたことを
後悔なんてしていない。



なんでかわかる?




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