空から君へ
「陽はいつからか心を閉ざしてしまって、笑いもしなければ怒りもしなかった。そんな子だったんだけど、絢ちゃんと出会って想って想われて、絢ちゃんのために絢ちゃんを手放して…。あの子があんなに人を大切にする姿は初めて見たのよ」
姉貴は何もかもわかっていた。
俺が心を閉じたことも。
人を大切に思わなくなったことも・・・。
だから、余計にわかるんだと思う。
「陽はもういないけど…陽はまた生まれ変わるのよ」
そう・・・。
また、生まれ変わるんだ。
―――…たった一つのために。
「また、絢ちゃんと出会うために」
また、必ず出会えるから。
とりあえず『さようなら』だな。
大きな壁にぶつかって
何か大切なことを見失いそうになったら・・・。
空を見上げろ。
いつでも、お前を受け止めてやる。
大切な物を絶対に手放すな。
泣いたっていい。
我慢してると、本当の笑顔を忘れるぞ?
「陽…」
つらいのは俺も同じなんだ。
お前なら…
今そこにあるものを大切にできる。
“今を生きろ 前を向け”
後悔なんてしたって仕方ないから。
もし
後悔してんなら、
後悔したことを後悔しろ。
俺と、出会ったことを後悔しろ。
絢が本当につらくて
心が張り裂けそうなら
俺を忘れてください。
絢が笑顔でいることを祈ってる。
お前の願いがかなうことを
俺は願ってる…。