空から君へ

俺が長く病気と闘ってたら
その分長く絢を泣かすだろ?

だから、これでよかった。


だってさ、今空から見られるのは絢の笑顔。
心から笑っている絢の笑顔





「陽…」



「ん?」



「精一杯っ生きなさい!」





姉貴たちはいつだって俺を尊重してくれた。

紗雪は千紗を連れて病室を出ていった。



俺…
今も幸せだよ。すごくすごく…。
絢に触れられなくても
会えなくても

今、幸せだ。




しばらく学校を休んだ。
絢には風邪と嘘をついた。

もう少しで別れるから……。





「陽っ…」



「おいおい どうしたんだよ」






絢は不安そうに顔を歪めて俺に抱きついてきた。
小さくて、細い

鼓動の速さが絢の不安を余計に伝えてくる。






「俺はそばにいんじゃん」





そういって絢を落ち着かせた。

たぶん、瑞希が絢を不安にさせた。
ごめん

そう思いながら絢を放した。




身体を重ねて、修学旅行の話題で持ちきりの頃
俺は最低なことを頼んだ。







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