たいせつなモノ
「う…ひっく……。」




「屋上行こ!!!」




泣く愛里の手をひいて




困った顔をしながら歩く私。




《こんなん多輝が泣かせたみたいやん…》




屋上はちょうど誰もいなかった。




「愛里、どないしたん?」




できるかぎり優しく聞くと




「多輝、ありがとう。」




《え??ありがとう???》




「話しかけてくれてありがとう。」




意味がわからない。




「昨日さ、愛里が言った言葉聞いて




怒って帰ったやん?




あれから愛里なんかしたかなって考えてて




今日も多分




多輝怒っとるやろなって




思っとってん。」




「え?勘違いやで!!!」




私は昨日の事を全部話した。

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