たったひとつの愛と笑顔

というと、怒ったわけでもないのに、


「明日は一緒に帰ろう。絶対な。」


そこまで一緒に帰らなくて良いのに。


帰る途中、直木先輩に呼び止められた。


「おい。キミ。確か、明日香チャンだよねぇ。一緒に帰ろう。」


嬉しい。直木先輩と一緒に帰れるなんて。


「はい。いいですよ。別に。今日は１人ですし。」


「昨日は誰と帰ってたの？」


明日香は嘘をつくか本当のことをいうか迷った。


しかし、嘘をつきたくない。


「彼氏です。でも、今日は先生に呼び出されたみたいで。」


直木先輩は言った。


「へぇ。モテるねぇ。俺も彼女いたけど、ケンカして別れた。」


明日香は詳しく聞きたくなった。


「ケンカの原因はなんですか？」


直木先輩は迷うことなく話し始めた。


「橘　瑞希。っていう人なんだけど知ってる？」


「はい。知ってます。」


明日香はそう答えると、後ろを振り返った。


すると、そこにいたのは、ゆうだった。


しかし、まだバレていない。


それから、バレないかどうか心配しながら聞いていたのでよく頭には入っていないが、直木先輩の話は、ザッといってこうだった。


まず、瑞希先輩は、普通に直木先輩と、話していたらしい。

そこで、クラスの男子がきて、


「お前ら、超ラブ②ぢゃん。」


と、ひややかした。


そこで、直木先輩は必死に


「ちげぇーよ。こいつとは、付き合ってねぇよ。遊びだよ。」


つい、そう言ってしまったらしい。


「まぁ、あいつの事はそんなに好きじゃなかったのかもな。」


って言っているけど、本当は好きだったんじゃないのかな。


家に帰ると、携帯をみた。


すると、「メェル一件」と表示されていた。


決定キーを押すと、ゆうからだった。