たったひとつの愛と笑顔
「俺、帽子っていった。」



は・・・はい???



もしかして、ゆうと間違えた。



「ゴメン。それ、違う人にあげるものだった。取り替えてくるね。」



翔太は明日香を呼び止めた。



「おい。待てよ。それ、ホントは誰にあげるんだったんだよ。」



やばっ。口がすべった。



言い訳は通用しないよねぇ。



「ゆうにあげるつもりだったんだよ。ゴメン。」



り・・理由はいえないけど。



「お・・俺、リストバンド欲しかったんだよね。サンキュー、明日香。」



怖い。



「お前、最悪だな。」



お前、最悪だな。



最悪。



明日香は最悪だ。



なんて悪い奴なんだろう。



いっつも翔太を裏切ってばかり・・・。



それから、翔太と口を利いていない。



試合の時もいなかった。



明日香は1人だった。



応援していてくれると信じていた人がいきなり明日香の前からいなくなった。



他にも応援していてくれる人はいるが、翔太じゃなきゃ安心できない。



明日香たちは、負けてしまった。


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