たったひとつの愛と笑顔
あやめは、今でも楠先輩のことを想ってる。



一途っていいなぁ。



一生、一人の人を想って死にたい。



たとえ、その人と結ばれなくても。


それから、何日もしたある日。




「明日香、この前はゴメン。」




可憐が誤ってきた。




「いいよ。明日香のほうこそ。それに、健二が叩いたところ痛い???」




「いいの。好きな人に叩かれるなら。それより、明日香、本当にゴメン。可憐、明日香に叩いちゃったし。」



可憐・・・。可憐はときに優しい。



(たまに意地悪なときもあるけど。)



「可憐さぁ。もう一回、告ってみたら???何回でも。」




可憐は下を向いた。



「健二は、明日香のことが本気で好きらしいよ。だから、叶いっこないっしょ。」



叶わない。



両思いになれない。



寂しいね。



好きな人が自分の事じゃない人を想っているなんて。




「でも、あきらめたらダメ。」



「ねぇ。明日香はなんで健二と付き合わないの???翔太先輩が好きだから???それとも、可憐のことを気遣って???そうなら、やめて。可憐が悪いみたいじゃない。あきらめる理由がほしいの。」




あきらめる理由。



「あきらめる理由ってないと思うよ。別にいらないと思う。そこまでしてあきらめられないでしょ。だって、あんなに健二のこと好きだったじゃん。」



あんなに好きだったのに。



「あぁ。明日香になりたい。可憐が明日香だったら、楽をして100点とって。楽をして運動して、彼氏つくって。健二も惚れさせたのに。」



は・・・・???



楽をして・・・。




「ふざけないで。明日香、1度も楽なんてしたことない。」



「なんでそんなことで怒るのよ。」



そんなこと・・・。




「明日香は、一応努力してんだよ。努力しないでここまでこれたと思わないで。」
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