たったひとつの愛と笑顔
それが1番聞きたくなかった言葉だ。




「分かんないって・・・。明日香と付き合ってるんだよね。だったら、もうやめよう。わかんないんでしょ。」




「じゃあ、やめるか???」




ぐさっ。ありえない。




「俺はもう、うんざりなんだよ。お前らのケンカ聞いてるの楽しくねぇし。」




明日香のせいじゃない。




蛍が間に入ってきた方だよ。



なんで???





「明日香は何も悪くないじゃない。」




翔太に初めて思いっきり怒鳴った。





こうやって、恋人って別れていくのかな。




ケンカするたび、そう思っていた。




でも、今のはケンカじゃなく。




「別れ話」だ。


悲しいというより悔しかった。



振られた。



しかも、ライバルの前で。



みっともない。



蛍の笑う顔が頭に浮かぶ。




悔しさで涙がこぼれてくる。




あとから、悲しさもこみあげてきた。




「分かった。でも、明日香は翔太のこと、忘れないから。これからも大好きだから。気持ちが変わったら言って。」




これでいいんだ。




明日香、カッコよかったかも。




しかし、意外と早く立ち直れた。

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