たったひとつの愛と笑顔
今日は健二とのデートの日。




「どれきていこっかなぁ・・・。」




クローゼットをあけると、すぐさま目に入ってきたのは、翔太とのはじめてのデートのときにきた、ダウンジャケット、ロングTシャツ、ショートパンツ。



どれも、翔太との思い出の服ばかりだった。




香水も翔太とおそろばっかりだ。




ここまで思い出が残っていたら、翔太のこと。




ふと見ると、時計は8時を回っていた。




「やばっ。」



っとつぶやきながらこの前お母さんに買ってもらった、ひらミニスカートとトレーナー、ヒョウ柄のパーカーをはおり、待ち合わせの駅へと向かおうとしたとき。




トン。



誰かに肩をたたかれた。




振り向くと、




「よっ。明日香。お前、遅いんだよ。」




そこには、黒いジャケットをはおった、寒そうな顔をした健二が自転車をまたいだまま、明日香を見据えていた。




「ゴメン。ちょっと、準備でおそくなっちゃった。」





ホントは翔太のことを考えていたなんていたら、どういう顔するだろう・・。




「ほら、早くいくぞ。」



< 74 / 89 >

この作品をシェア

pagetop