たったひとつの愛と笑顔
最後に・・・残ったもの

卒業式

「さようなら。



さようなら。


みんな、アリガトウ。


先輩、お世話になりました。」




そう、今日は卒業式。


「明日香、今日。卒業式だね。」


「うん。そうだね。」


卒業=別れの日


今まで、優しくしてくれた先輩方。


ちょっと厳しかった先輩方。


どの先輩も、今、卒業してしまう。


「誰かから、第2ボタンでももらったら?」


近くのギャルグループから、話し声が聞こえる。


「翔太・・・。」


ちょっと、つぶやいてみた。


翔太は誰にあげるのかなぁ?


もしかして、蛍??


私じゃないのは、分かっている。


あきらめた。

きっぱりと。


でも、未練がまだ残っている。


「翔太!」


私は翔太を呼び止めた。


「えっと。卒業、おめでとう。」


「ありがとう。」


懐かしい翔太の笑み。


「ちなみにさぁ、ボタンって、誰にあげるの??」


思わず、言葉が出てしまった。


単刀直入って感じ・・・。


「俺があげたいのは・・・明日香。だけど、明日香は健二kと付き合ってるからなぁ。人の女にあげれねぇなぁ。」


「私、付き合ってないよ。翔太のボタン・・・もらいたい。」


つい、欲がでた発言をしてしまった。


「分かった。ほら、手ぇ出せよ。」


明日香の小さい手が、翔太の大きな手にのみこまれていった。


すると、ある小さな冷たいものが明日香の手の上にのった。


「大事にしろよ。なくしても、もうあげねぇよ。」


「うん!」


明日香は目を輝かせながら、翔太を見た。


翔太の目も輝いてる。


これから、別々の道だけど、夢に向かって突き進んで欲しい。


翔太は、私の大切な人だから。


「じゃあ、元気で。」


泣かない。


泣かないよ。


明日香はもう、大人なんだ。


翔太に子供って言われてたから、もう・・・大人になるんだ。


だから、泣かないよ。

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