たったひとつの愛と笑顔
絶対。


「明日香・・・お前って本当に子供だな・・・。」



え?


「我慢、しなくてもいいぞ。お前、笑ってるけど。ぜってぇ、笑いたくねぇだろ。笑いたくないときは笑わなくていいんだぞ。」



笑いたくない。



泣きたい。


でも駄目。

いいんだ。


「泣かないよ?だって、また翔太に子供だって、バカにされるでしょ?もう、明日香は大人なんだよ。」



「・・・れが・・。」



え?


「それが・・・、子供なんだよ。」


ギュ。


気づいたら、翔太に抱きしめられていた。


「今まで、ありがとな。大好きだったよ。」



そのとたん、目に涙が浮かんだ。


「私も。ずっと大好きだったよ。」


2人は悲しみよりも、喜びにあふれていたとおもう。

これからも、ずっと大好きな人とはつながっている。


こうして、時間は時計の秒刻みの音とともに次の時代へと流れていく。


しかし、時間は流れていっても、この日の記憶は決して消えない。



私たちは今、今まで先輩方と通ったこの門で、お別れをする。


大好きな人とのお別れは、いいことではない。


得るものもない。


でも、これから何かを得るキッカケになるかもしれない。


別れは、チャンスだ。


「さようなら、テニス部の先輩方。さようなら、末永先輩。そして、大好きだった翔太。」


そして。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「明日香。」


笑顔で明日香を呼ぶ人は。。。。


「どうしたの?」


「一緒に帰ろう。」



これから先、何があっても今まであってきた人たちを絶対に忘れない。


健二のことも。


「ねぇ、健二。一緒に帰るのも、今日で最後ね。」



「え?」


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