たったひとつの愛と笑顔

体育大会と先輩

それから、何ヶ月か経った。



もうすぐ、体育大会だ。


この行事が明日香は1番嫌い。


だって、走るのは、苦手。


特に100m走だなんて。


しかし、じゃんけんで負けてしまった明日香はいやいや出る事になった。


本当は嫌だ。



出たくない。


遅いもん。


恥なんてかきたくない。


それに、応援合戦がある。


明日香のブロックは青。


末永先輩は赤。


ちょっと残念だった。



「キミ。ボーっとしない。」


気づくと、応援合戦の練習をしていた。



「あっ、すいません。」


そこにいたのは、「直木 翔太」だった。


この先輩はなにか変わっている。


別にどこというわけでもないが、まぁ話しやすい先輩だ。


「ココ分かる?」


「大丈夫です。聞いていました。」


本当は聞いていないけど。


「じゃあ、ここまで通してみるよ。」


青ブロックの応援は、激しいものだった。


とにかく、はやい。


そのはやさについていくのがやっとだった。



「キミ、さっき聞いていなかったにしては、うまいね。他のひとよりうまい。」


その時の直木先輩の笑顔が、今も忘れられない。


ドキン。



「明日香チャンは天才だもんね。成績トップだもん。」


周りのみんながおだてる。



「すごいねぇ。見た目によらず。」


明日香は冷静に言った。



「ありがとうございます。」



正直、腹が立った。


初対面なのに、ひどすぎる。


そのあとも、どうしても、直木先輩を見てしまう。


好きになったのかな。


それとも、意識しすぎたのかな。



その日の夜。


友達の「あやめ」にメェルした。



「はっろぉ→^ε^久しぶり。」


返事ははやかった。


「知ってたァ???ゆうと園香、別れたらしいよ。」



原因を聞いてみた。



「なんか、園香がゆうにしつこくしてたらしい>ε<」


明日香は素早く返信した。

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