スキミー・ストイック【短編】

「書記……お前はバカか、いやバカだったな知ってた」

「んなっ!わ、わたしは…会長のこと真剣に心配してっ…!」

「……れが、」

「え?」

「俺が指示したんだ、書記以外は生徒会室に入るなと」


 それはもう、さらりと。

 さすがに来週からは仕事が忙しくなるから呼ぶけどな、と会長は付け足してマグカップを口に運んだ。

 ………はい?

 会長の言葉を理解できずに呆然と立ち尽くしていると、会長が頬杖を突いて小さく笑った。

 毒を孕んだ、厭味な笑顔。

 わたしの反応を楽しんでいるような、上目遣いの双眸。

 癖のある黒髪から顔に落とされる陰影。

 その表情に誘われるようにして、わたしの意識が現実に引き戻される。
< 15 / 22 >

この作品をシェア

pagetop