スキミー・ストイック【短編】

 だからってまさか会長の手引きで皆が来ないなんて!

 思うわけないでしょう!

 そんなばかな!

 いや寧ろ会長がばかだ!


「かいちょ、っんむ、」

「質問はひとつだけだ」


 開きかけた唇に会長の骨ばった人差し指が押し当てられた。

 他人に触られたことのない領域に踏み込まれたことで、自然と心臓が早鐘を打つ。

 びっくりした拍子に、言いかけた言葉が全部粉々になって消えてしまった。

 な、なななっ…!

 目を白黒させているであろうわたしを見てまた会長はくすっと笑い、それから口角をゆるりと持ち上げた。

 赤く色づいた唇が綺麗な弧を描く。
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