スキミー・ストイック【短編】

 妙に扇情的な様に目を奪われて硬直していると、会長が腰を折り曲げてわたしの耳元に唇を寄せた。

 会長の髪が頬をくすぐって、反射的に身を捩る。


「書記は俺の書記でいろ」


 …熱を持った意味不明な言葉を残して、会長の身体は呆気なく離れた。

 わたしの状態は、まさにぽかん。

 だってますます意味がわからない。

 気持ちよく寝ていたところを叩き起こされて“今日地球が終わるよ!”って言われたくらいには意味がわからない。 

 ……いや、この例えもどうかと思うんだけど。

 きょとんとした目を向ければ、会長はどこかご満悦な表情で笑みを深くした。

 改めて思うけど…会長って謎だらけだなぁ…。
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