スキミー・ストイック【短編】
いつもより静かな生徒会室も嫌いじゃないし、忙しいのは大変だけど会長が送ってくれるのは話し相手がいて楽しいし。
会長が進んで残業をしたがるなら、付き合ってもいいかなぁなんて。
貴重な可愛い笑顔を独占して、さらに頭まで撫でてもらえてご機嫌だったわたしは呑気にもそんなことを考えていた。
さっき会長は来週になったら皆戻ってくるって言ってたし。
あと少しだけ、2人きりの生徒会室を満喫するのも悪くないかもしれない。
…でも明日になったらまたひとつだけ質問しよう。
会長は毎日わたしを送るの面倒じゃありませんかって。
その回答が“好きでやってる”だと知る由もない今日のわたしは、のほほんと間抜けな笑みを浮かべて大量の会計報告の処理に向かった。
会長がそんなわたしを見て優しい表情をしているなんてことも、もちろん知らないまま。
2人の歯車が噛み合うまで、あと少し―――
...fin.