恋セヨ乙女
「んで、何?」

「さっきは芽衣がいろいろ言っちゃったから。」

「代わりにあんたがあやまりにきたわけだ。」

「うーん。まぁそんなとこ。」

「いいよべつ。もうなれた。」

「慣れるもんじゃないから。」

前にも同じようなことを聞いた。

『そんなことになれちゃいけないよ。悲しい時は泣けばいい。嬉しい時は声を出して笑えばいい。神様は皆平等に感情をくれたんだよ。』

なんか知らないけど、涙と笑いがこみ上げてきたのを覚えてる。

「まじうける。」

「なにがー?」

「あんた男に求めるものってなに?」

「愛情。」

「あんたまじおもろい。愛情なんかで腹一杯になんないっつーの!」

「本気で誰かを愛したことも、愛されたこともないから。」

何だろう。

この女は嫌いじゃない。

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