この手、あの手。


どうしよう……。

聖治は廊下側から6列目の前から5番目、遠い。

私を心配そうに見つめている。


女子ってどうしてかっこいい男子に群がるんだろう。

獲物を狩るかのような目をしている。

一度その顔を鏡で見ろっていつも思う。

私は群がるなんて絶対に嫌だ。


さて、どうしようか。

結局無視されて座れない。

何もかも顔だけ男のせいだ。

私は小さく溜め息をついた。



バンッ!!!


私の体がビクッとなる。

教室にいた人みんなも、体が反応した。


何事!?


音はすぐ近くで聞こえた。


分かってる。

顔だけ男の所から聞こえた。

きっと机を叩いた音だ。

だってほら、顔だけ男に群がってる女子が後退りしてる。


あーあ、怒らせたんだ。


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