この手、あの手。

「先輩、からかわずに仕事しますよ」

「はいはい」

2年に怒られる3年って……だらしない。


「都村さんは泉谷さんと一緒に仕事してね。1年は主に雑用だから」

「はい」

「もっと大きな声で返事して! マネージャーだって大きな声出せないと意味ないよ!」

「は、はい!」

最初よりも少し大きな声で返事をした。


怒られちゃった……。

ちょっと怖い……。

でも、先輩の言ってることは正しいから私がしっかりしなきゃね。


「それじゃあ仕事して」

先輩達は部室を出ていった。


「先輩いっつも怒るけど、私達にしっかりしてほしいだけだから、気にしちゃダメだよ?」

「あ、有難う、泉谷さん」

「いやー、1年が増えて嬉しいよー! 先輩達とは話合わないし1人寂しかったんだよねー」


これ内緒ね、と、泉谷さんは唇に人差し指を近づけた。

私は少し微笑みながら、軽く頷いた。


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