この手、あの手。
「ねえ、悠木君と鶴賀君どっちを取るの? 悠木君は私にくれるって言ったじゃん。あんたには鶴賀君がいるじゃん」
いつの間にか泉谷さんの声は激しくなり、言い方もきつくなっていた。
「それとも、鶴賀君を捨てて悠木君を取る? 悠木君が欲しい? 悠木君が大好きで大好きで仕方ない!?」
私の心を見られているみたいで怖かった。
「――都村さんってまじ最低」
泉谷さんは部室を出ていった。
「分か……ない……」
どうすれば良いのか分からない。
答えも分からない。
私は静かに泣いた。
もし2人から手を差し出されたら、私はどちらの手をを取れば良いのだろう。
答えは決まってるはずなのに、片方を傷つけてしまうから答えられない。
私は最低だ。