この手、あの手。
「お疲れさまでした!」
部活後、先輩達が部室を出たら鍵を閉めて体育教官室に鍵を返しに行った。
鍵は1年の役目。
「それじゃあまた明日」
「さよなら……」
泉谷さんはあれからずっと私に冷たくしている。
謝ったって済まないよね……。
「実乃梨!」
「聖治!?」
校門で聖治が待ってくれていた。
「流石にこんな時間に1人で帰らせないよ。それにどうせ隣の家なんだから、これから一緒に帰ろうぜ」
「……うん」
私達は並んで帰ることにした。
「懐かしいなー。中学時代、実乃梨はバスケ終わるまで待っててくれたよな」
「そうだね」
「2階から俺だけ見ててくれたの、すっごく嬉しかった♪」
「そうだね」
“そうだね”だけしか答えない私に、異変を感じた聖治。
「どうした? 俺、実乃梨の為ならなんだって力になるからな!」
「そうだね」
本当、そうだよね。