この手、あの手。

「……マネージャー内でなにかあった?」

「違うよ。私が悪いの」

「実乃梨が? 実乃梨は悪いことしない」

聖治が勝手にそう思ってるだけだよ。

私、本当は悪い子だもん。

良い子じゃないもん。


「悪いことしたんだよ……。鶴賀君が大好きなのに……」

「なのに?」

「……鶴賀君が大好きなのに、聖治のことも大好きなの!」

泣き出す私に聖治は少し戸惑う。


「なに言ってんだよ、実乃梨は俺のこと幼馴染みとして好きなんだろ? 悪いことじゃないじゃん」

「違う! 聖治のこと誰にも渡したくない! 聖治が離れるのは寂しい! 聖治が大好き……っ」


聖治は私の手を取り、そのまま引っ張られた。

手を繋いで黙ったまま私達は帰った。

私の涙もいつの間にか止まっていた。


聖治に手を繋いでもらったからかな?

聖治に手を繋いでもらうと凄く安心する。


< 109 / 316 >

この作品をシェア

pagetop