この手、あの手。

家に着くと、聖治はそのまま私を聖治の家に上げた。


「聖治……?」

「ちょっと俺の部屋で話そう」

「……うん。お邪魔します」


聖治は今、なにを思ってるだろう。

怖いけど知りたい。


「入って」

聖治の部屋は相変わらずシンプルで、バスケットボールや筋トレに使う道具が置かれている。

そして壁には、私達の小さい頃の写真が貼られている。


「そこ座って」

「うん……」

私達はベッドに並んで座った。


「実乃梨、今は鶴賀がいるんだ。だから、鶴賀のことだけを愛してやれ」

「そしたら聖治は……!? 聖治を置いてなんて無理だよ! 聖治がいないと生きていけない!」

「実乃梨……」


大袈裟かもしれないけど、私にとって聖治は本当に本当に大切なの。


「実乃梨、好きだよ。大好きだ」


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