この手、あの手。

「きゃ!?」

聖治は押し倒してきた。

そして、ギューッと抱かれた。


「せ……じ……?」

「俺、期待しても良いのかな」

「ひゃ!?」

首筋にキスされた。


聖治、なに考えてんの……?

怖い……!


そんな私の思いは通じず、聖治は唇にキスをしてきた。

息が苦しくなるまでされた。


抵抗しようとしないで、なにしてるの。

鶴賀君としかしたくないって言ってたじゃん。

なんで聖治としちゃったの……?


色々な思いが込み上げてきて、思わず涙を流した。


「ごめん!」

聖治はその涙を、キスしたせいだと思っている。


「本当にごめん! 俺最低だな……」


聖治は最低なんかじゃない。

そう言いたかったのに、聖治を責めてしまう自分が心にいた。


聖治が私を家に上げなかったら、キスしなかったら、聖治とは今まで通りだったかもしれない。


< 111 / 316 >

この作品をシェア

pagetop