この手、あの手。
「条件はまた後でな」
鶴賀君は耳元で呟いた。
私は小さく頷いた。
「2人共、県体は悠木のいる男バス応援で良いよな?」
「あ、私はマネージャーだから……」
「あーそうなの?」
意外……だよね。
田畑さんなんて、超バカにしてるし。
「じゃあマネージャーから一言どうぞ!」
「えっ……!?」
仕切っている生徒が手をマイクに見立てて、私の口に手を近づけてきた。
ちょっと気まずいけど、私はゆっくり聖治の方を見た。
うっ……、目が合った。
でも先に目を逸らしたのは聖治だった。
「あ……が、頑張って……」
上手く声が出せず、小さくなった。
「マネージャーだろ? もう少しちゃんと応援してやれよ!」
「……出来ない」
私は自分の席に座り俯いた。
「つーちゃんどうした?」
鶴賀君が背中をチョンチョンと触ってきたりしたけど、反応しなかった。
きっと変に思ってるよね……、ごめん。