この手、あの手。

「つーちゃん今日おかしいけど、大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

「でも無理して笑ってる」

自分でも無理してるのは分かってる。

けど……、聖治の顔を見れない。


「実乃梨……」

「いやっ!!」

私に触れようとした聖治の手を叩いた。

バシッという鈍い音が聞こえた。


「……ごめん」

「謝らないでよ、私も悪いんだから」

私は俯いたまま喋った。


「俺ら、もう前のような仲には戻れないな」

「………うん」

聖治の声が震えている。


「もう、さよならだな」

「………うん」

さよならってなに?

私から離れてくの?

もう昼休みも帰りも一緒じゃないの?

家には来てくれないの?


そんなのやだ……。


「聖治のことなんて、好きになるんじゃなかった」

私は泣きながら弁当を持って屋上から出た。



もう、聖治とはいられない。


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