この手、あの手。


「お待たせ!」

聖治に一緒に帰ろうと言われたが、先約があるからと断った。


「歩きながら話そう」

「うん!」

いつもだったら手を繋いでくるけど、今日はなにもしてこない鶴賀君。


「あの、話の続きなんだけど……」

「ああ……」

鶴賀君は小さい声で答える。


「鶴賀君のこと大好きだけど、聖治が一番大切だから鶴賀君とは別れる」

「……ああ」

「って言おうと思ったんだけど、私、聖治とは前みたいな仲に戻りたい……。だから聖治と気まずいままじゃダメだし、付き合ってもダメだと思った」

「………」

「結果、お互い気持ちぶつけてすっきりした。これで良い。鶴賀君とはこれからも付き合ってくよ。鶴賀君のことは大好きだから」

「……つーちゃんは本当にそれで良いんだな? 後悔しないな?」

「うん!」


鶴賀君は話を真剣に聞いてくれたり、私を心配してくれたりした。

有難う、鶴賀君。


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