この手、あの手。

「良かった……、俺つーちゃんいねえと無理」

「嘘だ」

「嘘じゃねえもん」

バカップルみたいな会話に笑えてきた。


「つーちゃんキモーい」

「それ彼女に対する言葉じゃないよ」

「じゃあ可愛い」

チュッ。


言葉もキスも不意打ちで顔が真っ赤になる。

急に可愛いなんて言わないでよ……。


「あの……鶴賀君……」

「なに? もっとキスしてほしいのか?」

鶴賀君は平気で言う。


「うん、もっとキスして」

「えっ………」

上目遣いでねだってみたけど、鶴賀君にはかなり効果てき面だ。


「自分から言ったくせに。キスねだれって」

「あぁ、それでか」

「早くキスしてよ」

自分からこんなこと言うなんて恥ずかしい!

でも疲れたから早く帰りたいんだよね。


「キスねだったこと後悔すんなよ」

鶴賀君は長い間、何度も何度もキスしてきた。

ディープキスも。

頭を押さえられて、逃げようにも逃げられなかった。


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