この手、あの手。
「誰が誰を好き?」
武志はニヤニヤしていた。
小松さんと聖治は、苦笑いしながら私達のやり取りを見ていた。
「私がた、武志を好き……」
「早くちゃんと武志って言えるようになれよ」
「……うん」
武志……。
名前で言う時、まだ慣れてないからドキドキする。
「名前で呼ぶようになったんだね」
「あ、うん」
小松さん、心が笑ってないように見える。
そうだよね、むかつくよね。
ただのクラスメートだった人に大好きな人奪われたんだもん。
「なんか…ごめん……」
「謝らないで! 私怒ってないから! 都村さん彼女だもん、名前で呼ぶのは当たり前だよ!」
そう言われても、やっぱりちょっと申し訳ない気持ちになる。
「んじゃ俺も鶴賀じゃなくて、武志って呼ぼっかなあ!」
「止めろ」
聖治に対し、武志は即答した。