この手、あの手。


「武志って呼んで良いのはつーちゃんだけなんだよ」

「あーそーですか」

武志と聖治は睨み合った。


なんか良いかも……。

自分のことで2人が争うって、女子の憧れだもん。


ってなに考えてんの!

聖治は友達じゃん!


「聖治は止めてよ。武志って呼ぶの、私だけが良いから」

「……ああ、ごめん」


ごめんはこっちだよ。

傷つけたよね?

でも、武志が好きだから……、武志の方が好きだから……。


「ふふっ」

突然小松さんが笑い出した。


「悠木君は、私と都村さんの仲が悪くなったら嫌だと思って、わざと武ちゃんのこと武志って呼ぼうって言ったんだよね」

それを聞いて聖治は顔を赤くする。


「聖治そうなの?」

「うっ……、ああ、そうだよ」


聖治……、有難う。


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