この手、あの手。


ついに県体が始まった。

県体の日はどの学校も休校で、その代わり応援に行くという決まりがある。

私達1年2組は男子バスケットボール部の応援だ。

私は勿論マネージャーだから、みんなとは別行動だ。


「1年は荷物を2階に持ってって。んで他の部員と一緒に2階から応援すること」

「はい!」

私と泉谷さんは部員の荷物を手分けして持ち、2階の空いている場所に荷物を置いた。

まだ試合が開始していないというのに、会場は応援客で賑わっていた。


「あの、泉谷さん」

「ん?」

「この間は有難う。私達、泉谷さんのお陰でちゃんと気持ち伝えれた」

「あー、あれね。私も悠木君に悪いことしちゃったし、お相子だよ」

「泉谷さん……! 本当に有難う!」


良かった!

同じ1年が、泉谷さんで本当に良かった!


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