この手、あの手。


「久しぶりだね~、元気にしてた?」

聞かれても私は返事しなかった。

答えたくないし、後ろも振り返りたくない。


「ちょっと~、無視しないでよ」

肩を思いきり叩かれた。


ドクン。


心臓がドクドクし出した。

怖い……。


「私達のこと、忘れたわけじゃないよね?」

5人の女子が私の前に立った。


「なんか喋れよ。あ、もしかして本当に声なくしちゃった?」

その人達は一斉にアハハッ!と笑った。


「声……出せるもん……」

「はー? 聞こえないんだけど」

みんな私を睨んできた。


やだ……。


私は目を逸らした。


「こっち向けよ!」

「痛っ!!」

頬をギュッと掴まれた。


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