この手、あの手。
「鶴賀武志です。気安く話しかけてこないで下さい」
顔だけ男はきっと高校生活1人だ。
入学式早々敵を作ったんだから。
その後暫く自己紹介が続いた。
聖治は明るく自己紹介していた。
私とは正反対だ。
正反対だからこそ、合うのかもしれない。
キーンコーンカーンコーン……。
先生の話の途中でチャイムが鳴った。
「それじゃあ次の時間もホームルームだから、号令なしで休み時間ね」
先生の一言で、一気に教室が騒がしくなる。
今朝までに、だいたいのグループが出来ていた。
勿論私は、1人でいる。
教室内では聖治とはあまり話さないつもり。
だって、付き合ってるって噂されたら嫌だもん。
聖治もそれを分かってるから、話しかけてこない。
それに聖治にはもう、友達がいっぱいいる。
明るくて親しみやすいから、直ぐに近寄る者がいた。