この手、あの手。


「大丈夫だから」

その声と共に、武志はギュッと優しく抱いてきた。


「大丈夫、俺がついてる」

武志は私の背中をゆっくり擦った。


そのお陰で私の心も息も落ち着いてきた。


「もう聞かないから、安心して」

武志の一言一言が凄く温かかった。


「都村さん、私もいるからね」

小松さんは私の背中を軽く擦った。


「2人共有難う……」

本当に有難う。

過呼吸って、こんな形でも止められるんだね。

いつも薬に頼ってたから……。


大丈夫、私には武志や小松さん、それに聖治がいる。

泉谷さんだって、私を助けようとしてくれた。

私は幸せ者だ。


もう、大丈夫。


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