この手、あの手。
「中学時代、私をいじめてたあの5人組だよ」
「えっ!? 会ったのか!?」
「うん」
それを聞いた聖治の顔つきが変わった。
怒ってる……。
「大丈夫だから! だから試合に集中して? 私のことは気にしなくて良いから」
「実乃梨……」
聖治は悲しそうな目で見つめてきた。
私を守れなかったのが悔しいんだ。
いつもいつも守ってくれてたのは聖治だったから。
でも、これからはもうあまり頼っちゃいけない。
そう思った。
だから、もしまたいじめられるようなことがあっても負けちゃダメだ。
強くならなきゃ。
強く、なりたい。
武志に頼るのも嫌だ。
言葉では言えない気持ちを、私は顔で伝えた。
「実乃梨、強くなったな」
なにも口にはしないけど、それを分かってくれるのが聖治。
私、これからもっと強くなるよ。