この手、あの手。


試合終了後――。


「つーちゃん」

「武志! まだ帰ってなかったの?」

「うん、聖治に話があって。聖治貸してくれる?」

「良いけど……」


貸すって、聖治は物じゃないんだから。

ガッ!!


え、今の鈍い音なに?


2人の方を見ると、武志が聖治の顔を殴っていた。


「試合終わったから良いよな。この前つーちゃんにキスした分と、今日つーちゃんに抱きついた分だから」


あちゃー、あの時武志見てたんだ。


「暴力する人はんたーい」

武志の近くで笑いながら呟いた。


「そんなこと言う子にはお仕置きだ」

そう言って武志は、聖治の前だというのにキスをしてきた。


私の顔は真っ赤になった。


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