この手、あの手。


「都村さん……だよね?」

「え……、はい」

最悪、田畑さんが話しかけてきた。


「鶴賀君と前後の席なんて羨まし~い」

「いや……別に……。あれ? 顔だけお……、鶴賀君のことまだ好きなんですか?」

「当ったり前じゃーん! あたし、そう簡単に諦めないタイプなの」

驚いた。

教室で言われ、入学式でも散々言われたのに諦めないなんて……。

こういう女子はなにを仕出かすか分からないから、気をつけてないと。


「そ・れ・よ・り。敬語なんて止めてよー。仲良くしよっ」

え~、高校で初めての友達が田畑さんなんてやだな……。

でも、断ったらなにか言われるかもしれない。


「い……いよ」

「わー嬉しい! 宜しくね、つーちゃん」

「つーちゃん!?」

そっこーあだ名かよ……。

まだちょっと喋っただけじゃん。

しかも私は田畑さんと仲良くしてるフリはしても、友達になるつもりなんてない。

あだ名なんて、気持ち悪い。


< 16 / 316 >

この作品をシェア

pagetop