この手、あの手。
「都村さん……だよね?」
「え……、はい」
最悪、田畑さんが話しかけてきた。
「鶴賀君と前後の席なんて羨まし~い」
「いや……別に……。あれ? 顔だけお……、鶴賀君のことまだ好きなんですか?」
「当ったり前じゃーん! あたし、そう簡単に諦めないタイプなの」
驚いた。
教室で言われ、入学式でも散々言われたのに諦めないなんて……。
こういう女子はなにを仕出かすか分からないから、気をつけてないと。
「そ・れ・よ・り。敬語なんて止めてよー。仲良くしよっ」
え~、高校で初めての友達が田畑さんなんてやだな……。
でも、断ったらなにか言われるかもしれない。
「い……いよ」
「わー嬉しい! 宜しくね、つーちゃん」
「つーちゃん!?」
そっこーあだ名かよ……。
まだちょっと喋っただけじゃん。
しかも私は田畑さんと仲良くしてるフリはしても、友達になるつもりなんてない。
あだ名なんて、気持ち悪い。