この手、あの手。
7月29日。
「お疲れ様でした!」
体育館に元気の良い男子達の声が響いた。
「実乃梨、片付け終えたら早く来いよ!」
「うん!」
練習が終わったらすぐに帰宅して風呂に入って着替えして、待ち合わせのミドリの広場に行かなければならない。
泉谷さんが協力してくれたお陰で片付けは早く終わり、私は急いで校門で待っている聖治の元へ向かった。
「聖治!」
「実乃梨走れるか?」
「……出来るだけ走る」
体力のない私は息を切らしながら走った。
途中聖治に手を引っ張ってもらったり、抱っこしてもらったりした。
練習直後だというのに、聖治は全然疲れていない様子だった。