この手、あの手。


「都村さんだからつーちゃんなんだけど、おかしかった?」

「や……良いけど……」

「じゃあつーちゃんね!」

まじかよ……。


「ぷっ」

今、誰が笑った?

私のあだ名で笑ったな?

最悪!

恥ずかしい!


「だっさ」

奴だ。

私は後ろを振り向いた。


「あだ名羨ましいでしょ。鶴賀君のあだ名も作ってあげようか?」

嫌味っぽく言ってやった。

でも顔だけ男には全く効かなかった。


「お前普通に喋れるじゃん。気がつかなかった? 声、小さくねえよ」

「は……あ……」

本当だ……。

確かにさっきまで声小さかったのに……。

聖治以外とは普通に喋れないはずなのに。


「良かったな」

顔だけ男は私の頭に手を置いて、なでなでしてきた。

微笑みながら。


うわっ……。

胸がドキドキする。


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