この手、あの手。


「悠木、悪いんだけどつーちゃんと一緒に綿菓子買ってきてくれるか?」

「ああ良いよ」

武志は聖治にお金を渡した。

私と小松さんの分だ。

武志のそういう優しさ、凄く好きだ。


「武ちゃん早くー!」

「ああ。つーちゃんごめんな、一緒に行けなくて」

「良いよ別に、小松さんにとって武志は特別なんだから」

たまには小松さんに、武志を返さなきゃ可哀想だ。

私だって大切な聖治に彼女出来たら寂しいし、たまには一緒にいたいもん。


「麗南、金魚好きなんだよ。ほら、浴衣も金魚模様だろ? 麗南が元気な時に楽しいこといっぱいさせてやりたいんだ」

武志は微笑みながら喋っていた。


本当に小松さんが大切なんだね。

ちょっと妬けちゃう。


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