この手、あの手。
「武ちゃんってば!」
小松さんは武志の腕を引っ張った。
「ごめんごめん。じゃ、また後で」
「おう!」
「うん!」
私達はそれぞれの幼馴染みと一緒になった。
「こうして歩いてると、毎年実乃梨と2人で来てたこと思い出すな」
「そうだね。あの時聖治、私が欲しい物全部買ってきたよね。今思うとうざかったわー」
「ひっでー!」
私達はクスクス笑い合った。
聖治とまた2人で、屋台を歩けるのはちょっと嬉しい。
「あ、綿菓子あったあった!」
「やっぱり小さい子結構並んでるね」
「そりゃあ綿菓子は子供や女子に人気だからな」
ちょっぴり並ぶのが恥ずかしいな。
「ほらっ」
「え?」
聖治は私に手を差しのべてきた。
「俺がいるから大丈夫だ!」
「……うん、有難う」
私は聖治の手を握った。
聖治は私の気持ち分かってる。
だから安心させようと、手を繋いでくれるのだ。
こんな所武志に見られたら、怒られそう。