この手、あの手。


「はい!」

「有難う」

私は綿菓子を食べながら、武志と小松さんがいる場所へ戻った。

聖治はちょっと食べたいからと、小松さんの綿菓子を一口サイズに千切って食べた。

「内緒な」と、人差し指を口に当てる聖治に対し、私は口パクで「バカ」と言った。


「ねぇ、あの2人お似合いだよね」

「カップルかなあ。良いなあ、あんな彼氏」

金魚すくいの周りには人だかりが出来ていた。

周りの人は何やら色々話している。


「あのカップル羨ましー!」

さっきからある男女の話ばかり聞こえてくる。

私にはすぐに分かった。

それが、武志と小松さんのことだと。


そりゃ私より、小松さんの方が武志には似合うよ。

でも武志の彼女は私だもん。


悔しくてヤキモチ妬いて、私は口を大きく開けて綿菓子を食べた。


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