この手、あの手。


「あ、都村さん、悠木君! おかえりー」

「ただいま。はい、小松さんの分」

聖治は小松さんに綿菓子を渡した。


「有難う!」

小松さんは大きな口で綿菓子を食べた。

幸せそうな顔で食べている。


「麗南の分も有難な」

そう言って武志は、私達に水の入った袋を見せてきた。

その中には8匹の金魚が入っていた。


「凄い……、私1匹も取れないのに」

「これつーちゃんにやるよ」

「え、良いの!?」

「あぁ。つーちゃんの為に取ったんだ」


どうしよう、嬉しい。

欲しいとか何も言ってないのに……。


「有難う!!」

満面の笑みで言った。


「やべぇ、そんな顔されると理性失うんだけど」

「……っ!!!」

武志は私に思いきり抱きついた。

人だかりは更に盛り上がってしまった。


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