この手、あの手。
チャイムが鳴りみんな席に着いた。
ただ、顔だけ男はまだ帰ってきてなかった。
「鶴賀君はー……、小松さんの所ね」
小松さん……?
誰それ。
自己紹介の時にいなかった。
「それじゃあこの時間は」
ガラガラ。
先生が喋り始めた時、ちょうど顔だけ男が帰ってきた。
女子を連れて。
「小松さん、大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
見た目に合った、可愛らしい声で小松さんは答えた。
ストレートの長い髪、タレ目で癒される顔。
そして、細くて150cmもないであろう身長。
まさに可愛い。
こういう子がモテるんだろうな。
「それじゃあ小松さん、席について自己紹介してもらえる?」
「はい」
顔だけ男と小松さんは何か言葉を交わし、席に着いた。
その時男子と女子の目は、小松さんに向けられていた。